『わたしに還る、ゼロの扉』

― 第1回 ―

なんだか腹が立って仕方がないときがある。

言葉の端々、態度、間の取り方。

全部が「なんなの?」と感じてしまうとき。

でも、そんなとき、

ゼロの視点で見つめてみると、

その“怒り”の矛先は、どうやら他人じゃなかったみたい。

たとえば、心の中でこんなふうに叫んでいる。

「知らないくせに言わないでよ」

「言い訳ばかりしないで」

「やってもらって当たり前だと思ってるんでしょ」

言葉は、相手に向けて放ったつもり。

でも、その声の正体をそっとたどってみると、

それは、自分自身に言っていた言葉だったりする。

知らないのに発言してしまった過去の自分。

理由をつけて前に進めなかった自分。

誰かに助けられていたのに気づかずに甘えていた自分。

…ああ、わたし、わたしに腹を立てていたんだなぁって。

360度、見渡せばぜんぶ自分。

ミラーハウスの中にいるみたいに、

目に映るものすべてが「わたし」だった。

そんなとき、ゼロの視点は、とても便利だ。

「どちらが正しいか」じゃなくて、

「そうであっただけ」と見つめるだけでいい。

誰にもぶつけることなく、

自分の内側で、静かに対処できる。

そして、そのたびに、少しだけ成長できる。

心理学ってすごいなと思う。

この世界は、自分が創っているという不思議に、

気づかせてくれるから。

【今日のひとこと】

腹が立つとき、

あなたの心が「見て」と言っているものがあるのかもしれません。