『ゼロの扉・続編④』
気づけば、たくさん抱えていました。
役割、責任、期待、常識、人の目。
そして、「ちゃんとしなきゃ」という思い。
それが“わたしをつくっている”と思っていたから…
それらを手放すなんて、考えたこともありませんでした。
でも、ある日ふと、疲れてしまったのです。

「このまま走り続けたら、わたしがいなくなってしまいそう…」
そんな予感がして、立ち止まってみた。
そっとすべてを置いて、
何者でもない場所に戻ってみたとき、
心の中に広がったのは…“なにもない空間”でした。
最初は、怖かった。
誰でもないわたし。
役に立たないわたし。
何のラベルもない、ただの存在としてのわたし。
「こんなわたしで、生きていていいのかな…?」
そんな声が、心の奥から聞こえてきました。
けれど、ゼロの視点に立ってみると、
その「なにもない」場所は、
実はとても自由で、あたたかい世界だったのです。
誰かに認めてもらうために何かを証明しなくていい。
がんばらないとここにいられないのではなく、
今までがんばってきたからここにいる。
わたしの存在はわたしにとって最高に価値がある。
そんな風に、自分を受けとめられたとき、
不思議と涙がこぼれました。
「なにもない」は、空っ
ぽじゃなかった。
そこには、わたしが“ほんとうの意味で生きている”感覚が、
確かに、満ちていたのです。

【今日の問いかけ】
あなたが怖くて手放せないものはなんですか?
それを手放したとき、
本当はどんな自分に出会いたいと思っていますか?
【そっと、扉の向こうへ】
生きづらさの正体は、
「何かを持ち続けなければならない」という思い込みかもしれません。
ゼロの視点は、
あなたにとって“ほんとうに大切なもの”だけを残してくれる視点。
カウンセリングでは、
余計な思考や期待を一緒に手放しながら、
「なにもない静けさ」の中にある、
あなたらしさを見つけていきます。
わたしがわたしでいられる場所は、
何かを足した先ではなく、すでに“ある”場所かもしれません。
【次回予告:続編⑤】
「ちゃんとしなきゃ」からの卒業
〜頑張ることに疲れたあなたへ〜